シャツのパターン(設計図)は、手描きで作ることもあれば、コンピューターで制作することもあります。
結論から言えば、パターンの作成はいろいろな意味でコンピューターのほうが便利ですし、正確でもあります。ただし、コンピューターの画面上で曲線を確認するのは意外と難しく、やはり紙に出力してみないとわからないことがあります。画面上では調整しづらい部分もあります。ですので、最終的には手描きで修正を入れることになるのですが、それでもトータルで見れば、コンピューターを使ったほうが圧倒的に早い。コストパフォーマンスで考えれば、明らかにコンピューターに軍配が上がります。
設備投資という壁
とはいえ、このコンピューターの設備は、整えるだけでもかなり高額です。シャツ屋を開業したての人が、そう簡単に導入できるような金額ではありません。私もかつてはそうでした。
そこで、新しい職人の多くは手描きでパターンを作っていくことになるのですが、これはコスト的にはかなり高くつくやり方です。
「手描きのほうが良い」と言われる理由
手で描いたパターンのほうが良い、と思う人がいるかもしれません。しかし、そこに合理性はまったくありません。
ただ、「手描き」「アナログ」という言葉は、デジタルが当たり前になった昨今ではかえって響きが良いようです。またビスポークのシャツに関しては、枚数が少ないということ自体が一つのステータスにつながります。結果的に手描きのパターンが良いと言われるのは、そのあたりが理由でしょう。
手描き1時間半、コンピューターなら5分
では、どのくらいスピードに違いがあるのか。
手で描くとシャツのパターンは約1時間半ほどかかりますが、コンピューターなら5分程度です。しかも、もちろんコンピューターのほうが正確です。ただし、コンピューターだと微調整が結構大変だったりします。
手描きのパターンというのは、手書きの文字と同じで、それだけの労力を使ったという意味では価値があるかもしれません。しかし、それが品質に関係するかと言えば、まったく関係しません。アナログ的な価値という意味では、非常に価値が高いのではないかとは思いますが。
私の場合
ちなみに私は、自作のCADシステムで大部分を作り、微調整に手描きを採用しています。
バックアップや合理性などを考えると、本当はすべてコンピューターで行いたいのですが、まだそれを可能にはできていません。これができるようになれば、日本のシャツ業界はもっと発展していくと思います。
※写真は自作CADシステムの画面。前身頃・袖・後ろ身頃・肩ヨークのパターンで、点の一つひとつが曲線を決める基準点になります。